ボイス 受講生の声
VOICE vol.62
新田 草子 Kayako Nitta 2009年中村教室入学 / ゼミナール初級コース在籍

---では、そろそろ始めましょうか。

 

何か変な感じ。いつもと逆だから。

 

---逆?

 

仕事で私は木下さんの立場なんですよ。インタビューする側だから、されるのって何か落ち着かない(笑)。

 

---あ、そうか!フリーで編集がお仕事だって。

 

あ、そうそう。インタビューをして、テープ起こしをして、編集して記事にする。企画からやることもあるんだよね。いちおうフリーライターなんですけど、半分は編集が仕事かな。

 

---ライターさんかぁ。かっこいいなぁ~!

 

いやいや、雑用ばっかりですよ・・・(笑)。ところでいつもそうやってメモしてVOICEの編集してるんですか?録音は?

 

---あ、それみんなに言われるんですよね(笑)。録音した方がラクだよって言われて録ってみたんだけど、結構長く話すから要点を絞るのが大変で、編集に時間かかっちゃって。記憶を辿ると重要なことはちゃんと憶えてるから、汚くて自分でも読むのが難しいメモを見ながら話の流れを思い出して編集してるの。それのがラクだった(笑)

 

そういうことかぁ。すごいよ。私はテープ起こさないとダメ(笑)。木下さんはそういう仕事を前にしてたの?

 

---いや全然!ど素人!です(笑)。だからプロのライターさん相手にインタビューなんて・・・。

 

いや、上手いなって思ってますよ。VOICE楽しみにしてるし!

 

---ありがとうございます(笑)!新田さんが書いた記事も読んでみたいな。どういう記事を書いてるんですか?

 

雑誌が中心で、大体が女性誌なんだけど・・・。

 

---うんうん、例えば?

 

えーっと、書いちゃダメだよ(笑)。○○とか、●●とか・・・。

 

---おお~!じゃあ絶対読んだことあるなぁ!

 

---そういえばその雑誌「○○女子特集」みたいの、この前やってなかったっけ?(小宮山先生)

 

---やってたね!

 

やってた、やってたっていうか、一部私も書いた(笑)。

 

---おお!恋愛とかそういうのを書くんですね。

 

いや、恋愛はね~・・・苦手っていうか(笑)。いろいろ書くんだけど、基本的には「生活班」なの。

 

---せ、生活班?

 

そう。「かっこいい班」「タレント班」とか分野に分けるとしたら、私は生活班。例えば映画だったら映画ライター、化粧品ならコスメライターがいるように、私は暮らしまわりの記事を書くのね。素敵な暮らしをしている方のところへ取材に行ったりとか。

 

---あ、なるほど~。暮らしまわり班なんですね。今まで一番おもしろかった取材ってあります?

 

やっぱり興味のあることを取材するのは楽しいよね。一番は向田邦子さんの没20周年の時に携わったムックかな。もともと向田邦子さんが好きで。縁のある人やお店を訪ねたりして、おもしろかったですね。すごく前のことなんだけどね~。

 

---それはおもしろそうだなぁ。仕事でもなければ、なかなかそういうことってできないし。それにしても「フリー」でそれだけ仕事してるってすごいですよね。

 

そうかなぁ~運っていうか(笑)。もともとは出版社でバイトしてたんだけど、これじゃあお金ないなーって思って商社に転職して、しばらくOLやってたのね。初めて一般的な組織社会に入って、楽しかったなあ、上司に飲みに連れて行ってもらったり(笑)。でもやっぱり28歳になって「ライターになろう」って思って会社を辞めたの。で、その後は1年ぐらいいわゆる家事手伝い?をやっていて、それも楽しくって。で、たまたまテニス仲間に出版社に勤めてる方がいて、「ライターになりたいなら、やってみる?」って仕事を紹介してもらったのが始まり。

 

---28歳で仕事やめてフリーライターになろう!ってすごい勇気がいることだと思う。なかなかできないですよ。すごいなぁ。OL生活が楽しかったならなおさら「まあいいかぁ~安定してるし~」ってなりそうな気がするのに・・・。

 

何も考えてなかったんでしょうね~(笑)。流されるままに・・・。

 

---そんなことないですよ!その強運はすごい!大手出版社だし。でも何で突然ライターになろうと思ったんですか?

 

あ、そうだよね、理由だよね。実は、私の父がやっぱり編集者だったんですよ。父の仕事仲間の方たちとも仲が良くておもしろい方がたくさんいて、今思えばそういう雰囲気に憧れもあったのかも。私自身も本を読むことや、文を書いたりするのも好きだったから、漠然と文章を書く仕事をするんだろうなって思ってたんですよね。

 

---お父さんの影響なんですね~。写真はどうなんですか?

 

写真は全然で、正直言うと仕事に活かしたかったから始めただけなんですよね。取材でカメラマンと一緒に行動することが多いんだけど、ああしてこうしてと言っている中で写真を全く知らないでいいのかな?と思い始めて。そのうち「写真も文章もよろしく」って言われることがあって、その時にこんな素人が撮った写真を雑誌に載せて良いのか?ちゃんと勉強したほうが良いんじゃないかなと。ちょうどその時39歳で、「39スペシャル」だったし、写真やってみようと。

 

---さんきゅーすぺしゃる?

 

そうそう(笑)40歳になる前に、やりたいこと全部やろうって決めていて。

 

---なるほど(笑)。でも仕事のために中村教室に来たんじゃ、ちょっと内容が違って・・・大丈夫だったんですか?

 

ね~、いつかお料理のライティングとかやるんだろうなぁとか思ってたのに、やりませんね(笑)。それどころかどんどんかけ離れていく(笑)。

 

---よく今も在籍されて・・・(笑)。

 

今はまったく別物って思ってるから。それに最初の合評会の批評4秒で終わっちゃったんですよ(笑)。ひとこと「かたい」で。いつも仕事で雑誌の「かっこいい」写真を見ていて、そういうのをいいなと思ってたんだと思う。でも私の「かっこいい」はただの自己顕示欲なんだって気づいて、すごく恥ずかしくなっちゃって。このままやめられない!と(笑)。あとフィルムがいいですよね。撮り捨てじゃなく、1コマずつ大切に撮影するのがいい。仕事でいいなって思う写真はやっぱりフィルムで撮ったものが多いし、暗室作業も楽しい。何かに没頭するのが好きだから。

 

---4秒(笑)。確かにデジタルだとシャッターを切るのが軽くなるけど、その分重みも減りがちになってしまう。フィルムは本当に被写体を良く見てちゃんと撮ろうと意識しなくてもやりますよね。

 

そうそう。あと、母の影響で俳句を以前やっていたんだけど、それに考え方が通じるものがあって。「見たものを頭で考える前に、言葉に置き換えましょう」と。例えば「さざなみ」という言葉に「きらきら光って」なんて続けると、とっても分かりやすいでしょ?でも実際海を見に行ったらそうなのか?そうじゃないかもしれない。もっと右脳で考えて、確かにそれを見ているんだけど、説明ではなくそこから広がっていくような表現が大事。それがやっぱりおもしろいと思う。

 

---表現っていうのは写真だけじゃなく、みんな同じですね。ただの説明はつまらない。そこから鑑賞する人が何を感じ取るか。そこに広がっていく世界が個性であり、表現なんでしょうね。

 

そうかもしれない。俳句もおもしろいけれど、やっぱり写真を選んだのは「言葉」から離れるから。毎日仕事で言葉や文章と接してるから、その対極にある「言葉にできないもの」を表現するのは楽しいんですよね。だから毎回批評の授業もすごく楽しい。胃が痛くなるけど・・・(笑)。あとは人物をちゃんと撮れるようになりたいんですよね~。

 

---人物?

 

うん。物とか撮るのも楽しいんだけど、人物をちゃんと撮れたときのうれしさはまた別格。街で出会って気になった人とか撮れるようになれたらいいなぁって。人見知りだから緊張しちゃって、なかなか難しいんだけど(笑)。

 

---人見知りかぁ・・・VOICEでいろんな方とお話をしてきて感じてる傾向なんだけど、「人見知り」と言う人って人物を撮りたいっていう人が多いですね。

 

え?ホント?何でだろう。苦手克服かな?

 

---っていうよりは、「本当はもっと人と接したい。コミュニケーションをとりたい」という願望の現れなんじゃないかとわたしは思うんです。カメラというツールを通して、もっと人と交わりたいと。わたしなんかは近しい人、家族とかですね、その人たち以外を撮りたいなぁって思うことはないんですよ。友達も撮りたいと思わないし。もっと自分の生活に深く関わる人を撮る。それしか欲求はないんですよね。

 

なるほどなぁ~そうかも。そうなのかも!人見知りの裏返しかなぁ?すごい洞察力。ここカウンセリングもやってるの(笑)?!

 

---ふふふ(笑)。写真表現はカウンセリングみたいなもんですよ~。わたしの脳内統計によるとですが、たぶん当たってると思う!

 

いや~怖いなぁ(笑)。写真って解っちゃうんだね~。

 

---そうそう!さらけ出すのが表現だから(笑)。さらけださないとつまらない!

 

はぁ~ますます胃が痛くなる・・・(笑)。

 

聞き手:木下マリ子

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