ボイス 受講生の声
VOICE vol.61
木村 真 Makoto Kimura 2009年中村教室入学 / ゼミナール初級コース在籍

---風邪ひいてるのにすみません。よろしくお願いします。

 

いや~改めてこうなると、緊張しますね。

 

---大丈夫、大丈夫!気楽に~。木村くんはカメラの修理がお仕事ですよね。やっぱりその関係で写真を始めたんですか?

 

そういうわけじゃないんですよ。秋田から東京に出て来る1年ぐらい前から撮り始めたんで。5,6年前かな。藤田一咲さんの本を読んで写真ってかわいいなって思って。

 

---え、かわいい?

 

あ、いやまぁいいなぁと。それでコンパクトデジカメを買って撮ってたんですけど、友達がクラッシックカメラを持ってるのを見ちゃったんですよね。それがかっこ良くって「俺もクラッシックカメラ持ってたらモテるんじゃ?!」と(笑)。で、ヤフオクでカメラ買って、何も解らないまま撮ってました。

 

---そういう理由だったんだ(笑)。

 

そう。でもホント何にも解らなかったから、とりあえずシャッタースピードを速くして撮ってました。速いとシャッターの切れる音がいいでしょ。ただそれだけで・・・よく撮れてたなぁと思います(笑)。

 

---ホントですね(笑)。

 

でも今見てもちゃんと写ってるんですよ。でもまぁその程度ですね。あとはデジカメでちょっと撮ってたぐらいで。

 

---東京には転職で来たんですか?

 

いや、前の会社辞めて3,4ヶ月ぐらいかな?スロットで生活してたんですよ。4年間くらい必死に勉強してたんで、何事も頑張ればできるはず!ってその成果を出したくて(笑)。でも親に心配かけるしなぁと。あとはずっとしたかった日本一周をして、やりたいことやり終わって・・・さぁ何しよう?と。それじゃあ東京に行ってみようかな、で、出てきて1週間で今のところに就職したんです。

 

---スロットで生活っていうのもすごいけど(笑)、東京で就職する早さもスゴイ。やっぱりカメラに関わる仕事に就いて、写真を本格的にはじめたんですか?

 

やっぱりカメラのことをひとつずつ解ってくるとおもしろくなりますよね。それで最初はカメラ雑誌を見たりして、あ~こういうほんわかしたような”いい感じな写真”が撮りたい!って思って撮ってたんです。それから色々と撮っていくようになって、女友達をいい感じに撮れて喜んでみたりもしてたんですけど、やっぱり何か満足できないというか。それで何が悪いんだろう?って悩んで「満足できないのはプリントが良くないからじゃないか?」と。同時プリントをお店に頼んでたから。それでプリントができるスクールを探したんです。

 

---なるほど。いわゆる流行の写真ですね。でも中村教室はそういうのと全く違うから、戸惑ったんじゃないですか?しかも最初はモノクロだし。

 

モノクロについてはプリントをするならそこから始めた方がいいのかなって思ってたんで。でもギャップはありましたね、やっぱり。「何これ?!」みたいな(笑)。最初はカメラのこと結構知ってるし基礎コースからでも大丈夫だろうなんて余裕に思ってたけど、入ってみたらいやいや入門コースからで良かったなと。まず最初に先生に言われる「一般的な美意識を捨てる」っていうのが大変で。

 

---そうですよね。写真表現を知らなければ、普通はみんな「一般的な美意識」で撮ってるわけだし。でもそれなのによく今まで続いてるな~と。

 

友達がコニカミノルタフォトプレミオに入賞したんです。その個展を見て、こういうふうに個展をやりたいって思ったんです。それでもっと表現っていうものを知りたい、自分にはどんな表現ができるんだろう?って、「表現」という事にどんどん夢中になっていったんですね。だから入学するまでいいな~と思っていた写真とは違ったけど、大丈夫だった。それに今は以前はいいなと思っていた”いい感じ”の写真は嫌いじゃないし否定もしないけど、別に撮りたいとは思わないかな。前ならわからなかったけど、今は見れば「あ~こういう設定で撮れば撮れる」と分かるし、カメラも優秀になっているから最近はそういうモードがついてたりするし。今は自分にしか撮れない写真を撮りたい。自分らしさを出したい。・・・ただ基礎コースの頃はちょっと辛かったですね~。

 

---基礎コースで?

 

ちょっとしんどかったんですよ。入門が終わって質感、形態っていうのは何となく解ってきたけど、撮っているものが表現としておもしろいのかどうか分からなかった。それが辛くて。でもその時に小宮山先生が「今は同じようなものを撮っていて辛いと思うかもしれないけど、この先必ず写真が変わってくる。今は基礎が大事。」って。この言葉で救われたんですよ。そっか~って。

 

---さすが小宮山先生。基礎をきちんとやらないと結局その先に進めない。広がらない。

 

うん。でもやっぱり一度いろいろやってみたいなって思って、3ヵ月受講するのをやめたんですよ。

 

---あ、そういえば・・・。

 

でもね、写真撮らなくなっちゃうんですよね。授業がないと。それで3ヵ月後に再開したんだけど、その間授業を受けてた同期と差がすごくついていて・・・ビックリしました。

 

---そうなんですよね。何だかんだ理由つけて撮らなくなっちゃう。でもそれで復活してゼミナール初級受講も3回目。

 

そうですね~。最初の頃はやっぱり自分が何を撮りたいのか?とか何がおもしろいのか?とかよく分からなくて。あと「自分は上手く撮れるんじゃないか。」「いいものを撮れるんじゃないか。」ってヘンなプライドがあって、その頃はちょっと大変でした。

 

---プライドが表現を邪魔するんですよね。さらけ出せないから。

 

そう。それにもともと自分に対してコンプレックスが強くて・・・。そういうさらけ出せてないっていう部分で写真に迷いが出ているのか分からないけど、自分の中でちょっと引っかかったり、どうなんだろうって誰にも言わずに悩んでるようなところを批評の授業で先生が写真を見て「ドキッ!」とするぐらい的確に、心の中を見透かしたように言ってくれるんですよね。それに対して「ああ、やっぱりそう思うか・・・」とか思って、また言われたことに対して悩むけど、すごくスッキリするんですよね。悩みをつっついてもらってるから解決の道筋ができるんです。最初はムスッとしたり、反発したようなこともあったかもしれないけど、そういうことの繰り返しでちょっとずつ素直になってきたというか。プライドが剥がれてきたというか。だから最近は前に比べてラクに写真を撮れるようになってきたかな。まぁでも悩みますけどね(笑)。でも、もっと自分に向き合おうと思って。自分の写ってる写真が嫌いだったけど、今はセルフを撮ってみたり、証明写真をメモ帳に貼り付けたりしてます(笑)。

 

---写真に撮ると撮影時とも時間があいてるから、自分のことを客観的に冷静に見れるんですよね。それってすごく良いこと!やっぱり木村くん、一時期よりかなり元気になった!なんかハキハキしてきたっていうか。

 

あの頃は人生泥沼でしたよ・・・。

 

---ちょうど一年前ぐらいだっけ?いろいろ話したのは。かなり「ヤバイな~大丈夫かな~」と思った。

 

なんかいろいろあって、どうしたらいいか分からなくなって、もう生きていけないって思ってた。自殺という言葉が何度も頭を過ぎった。写真もやめようと思ったんですよ。全部捨てたらラクになるんじゃないかって思って。でもきっとそうじゃないんだってある時思ったんですね。その頃ちょうど合評会があって船山先生に「おもしろい」って写真を褒められて。このたった一言で生きてるってこんなに楽しいっけ?!って思ったんです。

 

---良かった~良かったよ、ホント・・・!

 

それに最近教室の暗室にまた通うようになって、いろんな人と話すようになってもっと元気になった。かわいい子もいっぱいいるし(笑)。

 

---お、それは励みになる(笑)!

 

でしょ(笑)。今でも表現についてはいろいろと考えるけど、写真っていいとか悪いとかって千差万別じゃないですか。それぞれ感じ方や好みも違うし。昔は評価ばかり気にしていたけど今は誰か一人でも自分の写真をいいと言ってくれる人がいればいいなと。まぁ評価は全然きにしてないって言ったら嘘になるけど・・・(笑)。でもダメダメってガツンと言われても、大丈夫になりました。

 

---何か吹っ切れた感じ!

 

そうですね~。自分に対して何か言ってくれる人がいるってありがたいなって。

 

---うん。無視されるのが一番辛いこと。何か言ってくれるのは気にかかったり心配してくれているからで。本当にありがたいことですよね。

 

うん、ホントにそうですよね。だからもっといろんなことに向き合ってみようと思って。

 

---例えば?

 

人物を撮りたいんですよ。でも人物といってもどういう人を撮りたいのかって考えたときに、自分の場合はやっぱり家族かなって。身近で大切な人であり、尚且つきちんとその人を理解した上で向き合って撮るっていうのが自分には一番合ってるんじゃないかと。そうじゃないとこの先、人物を撮っていっても結局はいつまでも満足できないんじゃないかと思うんですよね。

 

---それ、わかります。わたしも知らない人に声をかけて撮るとかは、自分で撮る分にはあまり興味ないんですよね。

 

そうそう、一緒。特に自分の場合はおばあちゃんが亡くなった時なんですが。遺影って必要でしょ。だけど全然いい写真がなくって。いつだか旅行に行ったときの写真を切り抜いて、簡単に合成したのが遺影になったんです。その写真を見るたびに悲しい気持ちになっちゃって。もっと早く写真やってれば撮ってあげれたのかもって。

 

---そういう遺影は確かに悲しいですね。遺影こそ最高の一枚を、と。

 

うん。だから家族を。遺影のためにじゃないけどそれを切っ掛けに、家族と向き合ってみようかなって。自分は反抗期が長かったからいろいろ心配もかけたと思うし(笑)。でもそろそろ親と向き合うことも大切かなと。いつかはしなくてはならないことだと思ってるから。

 

---うん、それっていずれはしなくちゃいけないことだよね・・・って、木村くんなんだか大人になった~!

 

まぁ~大人の階段を昇ってる感じ?(笑)

 

---お、言うね~(笑)

 

大人になってきたでしょ(笑)

 

聞き手:木下マリ子

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