ボイス 受講生の声
VOICE vol.60
北見 千絵 Chie Kitami 2009年中村教室入学 / ゼミナール初級コース在籍

---今日はよろしくお願いします~。早速写真見せていただいていいですか?これは・・・どこで撮ったんですか?

 

佐渡です。ダンナさんの実家が佐渡なので、1週間ぐらい帰省して撮るんですよ。

 

---いいなぁ~実家が遠くって。しかも佐渡。・・・そういえば、写真見せてもらうの初めてですね。

 

そう、ですね。改めてこうやって話すのも初めてですね。

 

---そういえば。教室ではよく会うのになぁ・・・北見さん暗室によく来るし。

 

私が短時間しかいないからかも。朝来て、2,3時間で帰っちゃうし。

 

---そっか、いつも午後から仕事ですもんね。デザイナーさんでしたよね。デザイナーって、いろいろ分野があると思うんだけど、北見さんはどういったデザインを?

 

グラフィックデザイン全般なんですが、書籍の装丁とかカタログなどのエディトリアルが多いです。今は雑誌の編集部にいて、ページの組みとかをやってます。

 

---すごいなぁ。しかも超モード誌ですもんね。楽しそう!

 

そうかな?私はそこまでモードに興味があるってわけじゃなくて、ゆるい感じが好きだから・・・(笑)。

 

---そうなんだ~。モード誌の編集部だと「プラダを着た悪魔」みたいに、みんなスゴイ格好で仕事してるイメージがあるんですけど、どうなんですか??実際??

 

やっぱりスゴイですよ。ベアトップのドレスとか、歩いてきたんじゃないよね?ってぐらいのヒール履いてたりとか(笑)。別にどんな格好をしていっても何も言われないけど、仕事の時はいちおうまともな格好をしないとまずいな、と(笑)。

 

---ひぃ~やっぱり(笑)。ちょっとのぞいてみたいなぁ。でも有名雑誌でも今って雑誌自体が売れないから、大変なんじゃないですか?

 

そうですね~・・・やっぱり雑誌が売れないと、その分製作費がかけられないからおもしろいページ作りができないですよね。それに今って全部デジタルじゃないですか。デジタル使うと「みんなとりあえずできる」んですよね。それで同じようなものばかりになってしまったり、「何が良いのか」っていう基準が崩れてきてしまっている気がする。ものづくりにおいて、実はセンスとか感覚的な部分は全体のほんの数%で、残りは基本的なことかなと思ってるんです。感覚的な部分を生かすにも、基本がちゃんとしていないとダメだなと。写真をモノクロで撮影してプリントするという作業も、そういう意味では基礎訓練と思っているかも。

 

---デジタルの技術が優秀だから、誰でもそこそこ上手くできちゃう。写真も同じ・・・。

 

そう。だから紙媒体の価値もどんどん下がっていっちゃうんだと思うんですよ。でも私はデジタルに興味がなくて、これからも紙でやっていきたいなって思ってるんです。

 

---デジタルに興味がないのはどうして?

 

デジタル処理ってパソコン使うじゃないですか。あの機械に使われてる感がダメなので、作業自体が苦手。それに私が仕事を始めた頃ってまだフィルムだったんですよね。それからどんどんデジタルに移行していって・・・だからフィルムもデジタルも両方見てるから、違いがわかっちゃうんですよね。デジタルってつるっとしていて、それに合わせたライティングで・・・みんな同じになって・・・。

 

---やたらキレイなんですよね。キレイすぎる。

 

そうそう!それが決して悪いわけじゃないんだけど・・・こう、引っかかって来るものがないというか。やっぱり自分が「お?!」って引っかかるのはアナログ。それに物質的な魅力がある。写真も「画像が焼きついた紙」という物質そのものが大好きなんですね。

 

---紙好きなんだ。

 

好きですね~・・・って今気づいちゃったけど、私、紙の束が好きなんだ。しかも写真とか文字とかついてたら、さらにテンションが上がる(笑)。

 

---つまりは・・・印刷物フェチ?(笑)

 

印刷物、大好き(笑)。でもね、デジタルプリントもしてみようと思ったこともあるんですよ。暗室でのプリントが追いつかないから・・・。だけど、どうしてもあのデジタルプリント用の紙がイヤで。なんかテカテカ、つるつるのあの質感が。

 

---そっか~紙好きとしてそこは譲れないですもんね~。そういえば写真表現とデザインって対極にあるようなものだと思うんですが、そのあたりはどうなんですか?

 

そうですね。全然違いますね。ただ仕事を通じて写真への興味が深まったから、最初はデザインの一部と認識してたのかも。

 

---写真は撮ってた?

 

ん~実は美大に行ってたんですけど・・・美大生ってみんな一眼レフ持ってるんですよね。ほら、古いカメラとかってかわいいからファッションの一部みたいに。そんな程度なんだけど、私もやっぱり一眼レフを持っていて、友達を撮ったりしてたんです。でもしばらくしてやめちゃったんだけど・・・。仕事をするようになってから写真に触れる機会がすごく増えたんです。それでまただんだん興味が出てきて。

 

---それで再開?

 

そう。でも「写真やりたいのかな?」「写真やったほうがいいのかな?」「でも今さらムリだよな~」とか悩んだんですけどね。結果はまぁやってみようかと。

 

---でも広告やファッションフォトから興味をもって入ってきたのに、教室ではまったく違う授業。とまどわなかった?

 

ぜんぜん大丈夫でしたよ。広告もファッションフォトも写真表現も良いものは良いし、好きなものは好き。それにダメなものはダメ。ジャンルが違うだけだと思うんです。自分の好きなものを掘り下げていったら、ここにぶつかった。これだったんだなって思ってます。だから授業の内容や先生の言っていることに違和感は全くないですね。むしろこれこれみたいな(笑)

 

---そっか~よかった(笑)。

 

あと、写真をやっていなかった頃って、そろそろ何かやらなきゃって気持ちがあったんです。

 

---あせりみたいなものかな・・・?

 

デザイナーって自分の作品がないんですよね。だから何か作りたい、でも何を作ったらいいのかわからない。雑誌?絵?・・・わかんなかったんです。でも写真を始めてから「やってる」って安心感があるんですよ。ずっと。

 

---楽しい?

 

楽しい。写真って何にも決まりがないんだな~って。どこが楽しいのか?って言われるとわからないんだけど・・・。ブラブラと散歩をしながら気になるものを見つけたら写真を撮りたくなる。写真を撮ったら現像したくなる。現像したらプリントしたくなる・・・ただこれの繰り返しって感じなんですよ。

 

---それって最高のスタイル!

 

そうかな(笑)。・・・そういえば、写真の見方がハッキリとわかった授業があったんですよ。ゼミナール初級の最初の授業。

 

---講義ですよね。「人物の捉え方の違い」。

 

そうそう。それで2人の作家の作品が出てきて、ひとつは「いいなぁ」って思ったんだけど、どうしても「何がいいのか」説明できなくて。 もう一方はそういう風に思わなかったんだけど、絵作りされていてすごくわかりやすかった。仕事ではどうやって絵作りするかばかり考えているから、絵作りではない「写真表現」の見方はこういうところなんだな・・・!と。

 

---なるほどなぁ。確かに何でもわかりやすいものが一般的ですもんね。・・・北見さんって、デザイナーぽいといえばそうなんだけど、雰囲気はデザイナーぽくないですよね。なんかこう、ほわんと柔らかい雰囲気で。デザイナーさんってもっとガツガツしてるのかなって勝手なイメージなんだけど。

 

あ~そうですかね?すごい腹黒いですよ(笑)。

 

---腹黒いって(笑)。

 

なんか性格悪いかなって。オブラートに包んで話するのとか苦手だし、結構怒りっぽいと思うし。たとえばもの作りをしている人に何か言われたりしたら「今にみてろよ~!」ってメラメラしちゃう(笑)。結構中身はガツガツしてるんですよ。

 

---(笑)。でもそれって必要なことじゃない?そういう気持ちがないと成長しないし。くそ~やってやる!みたいな。

 

そうかな?でも、ものを作ること=自分のこと、じゃないですか。だから結局自分のことばかりで、優しくないのかなって。

 

---そんなことはないと思うよ~。そう見えないし。でも写真には?メラメラ「この先こうしてやる~」みたいなのはあります?

 

ん~写真はただただ楽しくてやってるから・・・。でもいつかまとめて写真集は作りたいな。

 

---個展じゃなくて写真集なんだ。やっぱり紙好きとしては・・・(笑)

 

そうそう!もう絶対写真集(笑)。紙の束(笑)。

 

聞き手:木下マリ子

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