ボイス 受講生の声
VOICE vol.29
道下 一幸 Kazuyuki Michishita 2006年中村教室入学 / ゼミナール在籍

―――こんにちは!作品見せてもらっていいですか?

 

どうぞ。追加で持ってきましたよ。

 

―――すごいたくさん!これは・・・デジタルプリントですか?

 

そうです。プリントだけデジタル。

 

―――ということは、撮影はフィルム?

 

はい、フィルムで撮影して自分で現像して、フィルムをスキャンしてるんです。

 

―――めずらしいですね~。どうしてそういうやり方に?

 

実は1年前に転勤になったんですよ。そうしたら通勤時間が倍になって、暗室に入ってプリントする時間がとれなくなっちゃったんです。だからせめてプリントだけはデジタルにしようかなと思って。

 

―――そうなんですか~。でも撮影はデジタルにしなかったんですね。

 

デジタルで撮影しようかなって思ったんですけど、欲しいデジカメがなかったんですよ。それにやっぱりフィルムで撮影したかった。アナログが好きなんですね。あとはコンパクトデジを普段仕事で使ってるんです。記録用のフルオートだけど。だからデジタルだと何だか仕事を思い出しちゃって。それもイヤだなって。

 

―――それはイヤだなぁ。

 

でもデジタルで作品づくりを試してみたことがあるんですけど・・・。デジカメってパソコンに取り込むとカラーですよね。カラーに写ってるものをモノクロに換えるっていうのに違和感を感じて。フィルムだと現像して、スキャンした時すでにモノクロじゃないですか。だから違和感がないんですよね。

 

―――確かにそうかもしれませんね。銀塩にこだわってるんですね。

 

現像が好きなんです。

 

―――うらやましい!プリントは好きだけど、現像は・・・っていう人多いじゃないですか。私もなんですけど・・・。

 

そうなんですか?現像が終わって乾燥させる時フィルムを吊るしますよね?あれが好きなんです。吊るされたネガを見るのが・・・。ラボにも現像を頼んだことがあるんだけど、上手くプリントできなくてやっぱり自分で現像しなきゃだめだなぁって。

 

―――自分で現像するとプリントしやすいですよね。現像のあがりも安定してるし。

 

そうそう。だからやっぱり自分で現像してます。夏は温度管理が大変だけど。

 

―――暑くて液温がどんどん上がっちゃいますからね~。そういえば道下さんのペーパーってバライタっぽいですよね。最初、バライタかと思いました。

 

これは、「バライタ調」ってパーパーを使ってるんですよ。他のも試したんだけど、これが結局良くて。

 

―――うん、これイイかも。使ってみたいなぁ。でも結構高そうですよね・・・?

 

う~んと、15枚で1800円ぐらいかな?1枚100円ぐらい。

 

―――うわ!高い!やっぱイイお値段で・・・。

 

そうかな。好きでやってるんで、値段とか気にしないんですよ。

 

―――はぁ・・・うらやましい!みんなランニングコスト計算してますよ!私もかなり気にしてます(笑)

 

そうなんだ(笑)

 

―――でもちょっと試してみようと思います。「バライタ調」。それにしても、写真おもしろいですね!どうして家の中の生活みたいなものを撮ろうと思ったんですか?

 

ゼミナール初級で「日録」ってあったでしょ?(1日1本撮影をして、生活の中にカメラを入れて「写真日記」を6ヵ月間続けるというものです)あれが、基礎コースの時から気になってて、勝手にやってたんですよ。

 

―――エライ!

 

(笑)。でも、1日1本って結構大変で、外に持ち歩いていて20枚ぐらいは撮れるんだけど、どうしてもフィルムが余っちゃう。だから残りのフィルムを消化するのに、家に帰ってからパシャパシャやって、36枚終わらせるみたいなことをしてたんです。

 

―――消化のために撮り始めた・・・。

 

そう、朝フィルムをセットして、夜までに撮りきりたかった。だからそんなふうにやってたんだけど、「消化」のつもりだったから、プリントもしないでいたんですよね。現像したままほっておいた。それまでは外でスナップとか撮ってたんですけど、ある時「もしかして家の中の写真、おもしろいかも・・・」と思って、プリントして授業に出してみたんです。そうしたら、評価も良くって。

 

―――そうだったんですか~。

 

家の中って、自分にとってはあまりにもありふれているから、何とも思わなかった。でも自分にとってはありふれているけど、実はそうでもない。単純でおもしろくないと思ってたけど、そうじゃなかった。それに気づいて。

 

―――自分の身の回りというか、家の中って特に当たり前過ぎて、気づいてないことが多いかもしれませんね。

 

それに自分の身の回りを撮っていると、仕事から帰ってきてからも撮れるしね。

 

―――お仕事はちゃんと休めるんですか?

 

夜勤とかもあるんだけど、代休があるからちゃんと週2日は休めますよ。

 

―――夜勤って、どういうお仕事なんですか?

 

輸送関係なんですよ。昔からあちこち行ったりするのが好きで。高校生ぐらいからフリーパスとか使っていろんな所いってました。旅行も好きで、日本全国ほぼ行きましたね。

 

―――すごい~!全国でどこが一番よかった??やっぱ南?いや北も・・・。

 

う~ん・・・横須賀かな・・・。

 

―――え?横須賀ですか。すごい近い・・・。

 

出身地なんですよ。写真撮り始めて横須賀っていいなぁって思って。

 

―――お、私も横浜育ちですよ。駅どこですか?

 

・・・・。(ヒミツです)

 

―――おぉ!懐かしい!・・・話それちゃいましたけど、旅行好きで写真を始めたんですね~。

 

いや、ぜんぜん。旅行にカメラを持って行ったことないですね。

 

―――ホントですか?!写真やってない人でも旅行の時は「カメラを忘れずに!」じゃないですか!

 

いや~カメラを持っていくって感覚、なかったなぁ。行ければ良かったんで。

 

―――じゃあもしかして、アルバムない・・・?

 

そうですね。子供のアルバムはあるけど、旅行のはないなぁ。

 

―――そんなにあちこち行ったのに・・・めずらしいなぁ・・・。でも旅行にもカメラ持って行かないのに、なんで写真始めたんですか?すごく不思議です。

 

教室に入学する半年前ぐらいから興味を持ち始めて・・・。アンリ・カルティエ=ブレッソンの死亡記事を見たんです。それが何だか妙に気になっちゃって写真集を見たんです。そうしたら、岩とか民家の壁とかが写っていて。「なんだこれは?」と。それからあてずっぽうで自分で撮ってたんだけど、先に進めなくて。

 

―――なんでそんなにその記事が気になっちゃったんでしょう・・・。これまためずらしい動機(笑)

 

何でだろう(笑)教室に入学しても「技術的なことだけ」って思ってたんですけどね。入学したらしたで「写真表現ってなに?」みたいな。「写真表現」自体、知らなかったから(笑)

 

―――そうですよね(笑)写真で表現?!ハテナ?って感じ(笑)でもおもしろかった、と。

 

おもしろいですね。意味性がないもの、って中村先生がよく言うけどそれが良くて。

 

―――というのは?

 

普段の生活は「意味のある」ことばかりやってるでしょ。だから「意味性のないもの」を探すのが、すごくおもしろい。家族を撮るのだって、記念写真とかじゃないから意味のないこと。でもそれによって開放的になるんです。

 

―――気分転換?

 

そう、すごく気分転換になる。

 

―――気分転換になるっていうのは良いですよね。そういうもの必要です。趣味って言うか・・・あ、写真は趣味とは違うか・・・。

 

趣味といえば趣味かもしれないけど、生活の一部かな。長く続けようと思って始めたし。

 

―――最初から?

 

そう。例えばだけど、海外でおいしいものを食べたりするのもいいけど、毎日の日常食べるものにも目を向けたいみたいな感じ。毎日の生活って淡々としてるけど、振り返ってみるとそうでもないと思う。・・・ってことかなぁ。

 

―――進行形だと気づかないものも、少し時間や距離をおいて見てみると、新しく感じたり「ああよかったんだ」って思えたり。写真やってるとそう思うことたくさんありますよね。

 

そう、だから続けたいと思うんです。

 

―――うん、解ります。それが写真の魅力かもなぁ。

 

意味性のないところも(笑)

 

聞き手:木下マリ子

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