ボイス 受講生の声
VOICE vol.26
海谷 英明 Hideaki Kaiya 2005年中村教室入学 / ゼミナール初級コース在籍

―――こんにちは~。この前話したので十分記事書けそうだけど、改めて今日はよろしくおねがいします。(このインタビューの前に、少しお話する機会がありました。)

 

いやいや~こちらこそ。これ、作品持って来ました。

 

―――すいません、この前預かった分もまだ全部見てないんですよ。ちょっと見させてください。

 

どうぞ、どうぞ。

 

―――あ、ちゃんと仕分けしてある!(紙で挟んで、小分けにされて箱に入っていました。)これ混ぜちゃったらまずいですよね。

 

あぁ、大丈夫ですよ。適当なんで。

 

―――スゴイなぁ。ちゃんとこうやって作品とってあるんですね~。

 

いやいや、作品は基本的に捨ててます(笑)

 

―――えっ!!せっかくプリントしたのに、捨てちゃうんですか!ダメだったやつを捨ててるってことですか?

 

逆にダメだったやつをとってあるなぁ。これはこういうことでダメだったんだとか、後で見たりするから。まぁいいかな~っていうのは全部捨てちゃいますね。

 

―――ひぃ~もったいない・・・。。

 

あ、でもそのプリント友達にCD送る時とかに包紙として使ったりしてるんですよ。ちょっと洒落た包装紙でしょ(笑)

 

―――お、エコですね(笑)でもプリントを包装紙にするなんて、いいアイディアですね。捨てるよりはずっといい。

 

でしょ。趣味、「エコ」ですから。印画紙ってすごいたくさん使うけど、これはリサイクルできないのかなぁって思って。

 

―――確かに・・・捨てるのもったいないですよね。

 

でも一番何とかしたいのはパトローネ(フィルムが巻かれている容器)。でもコレはリサイクルできそうですよ。

 

―――え、ホントに?

 

前にリールにフィルムを巻くときに、どうしてもフィルムが出てこなくて、パトローネを栓抜きで開けたんですよ。そうしたら、だいたい5ピースでできてるんだなってことが解って。そのうち3つはたぶんスチールでできてると思うんですよね。スチールだったらリサイクルできる、してやろうと。・・・で、すごい量が溜まってます(笑)

 

―――ボディ部分がスチール。あとは燃えないゴミで出せばいいんだ。

 

そう。あとは酢酸の入ってるボトル。あれもリサイクルできるんじゃないかと。フジの酢酸使ってるんですけど、たくさん空ボトルが溜まるじゃないですか。だからこれも何とかなんないかな~と思って、フジにメールしてみたんだけど、返事は未だにないですね(笑)

 

―――これ見て連絡来たらいいですね~・・・見ないと思うけど(笑)でも教室もほとんどの人がフジの酢酸使ってるから、教室で集めたらすごい量になりますよね。それリサイクルできたらいいですよね。

 

でも、仕事増えちゃうよ?(笑)

 

―――そんくらいイイですよ!エコのため(笑)それにしても何で「エコが趣味」になったんですか?

 

10年位前からかな~エコに目覚めたのは。会社に入って、ゴミがたくさん出るんだってことを知って。あとちょうど「地球温暖化でスキーができないかも」とか言われてる時期だったんですね。その頃スノボーにはまってて。「なにぃ?!」って。これはエコを広めなくては!と思って。でも最近はエコが「善」として、すっかり定着しちゃってるでしょ。そうすると「広めよう」とすることが、上からモノを見てるというか言ってるっていうか、そういう感じになっちゃうんですね。どうしても。そうじゃなくて、みんな同じモチベーションでやっていきたいのに・・・でもムリだから「エコは趣味でやってます」って言ってるんです。

 

―――なるほど~。でもつくづく感心しちゃう。普段から他にやってるエコってあるんですか?

 

「通勤途中に空き缶を1個拾う」。エコの原点ってこれだと思うんですよ。結構あるんだよね、空き缶。「こいつリサイクルしたらパトローネになるかも」なんて思いながら拾ったりね(笑)ボランティアみたいにやるより、これが一番大事かなって思うんですよね。

 

―――あ、ホントにそうかも!

 

・・・話変わるんですけど、この前「どうして写真続けてるの?」って聞いたら、「自分を客観的に見て、自分は今どうなのかを確認するために」って言ってましたよね?

 

―――あ~言いましたね。確かにそうです。私の場合は。

 

「なんで写真を続けてるの?」って聞いて、ちゃんと答えられるってスゴイなって思ったんですよ。

 

―――ん~そうかなぁ・・・。でも誰しも理由があるから続いてるんじゃないでしょうか。好きだけでも十分だし。

 

それが、「どうして写真をやってるんだろう?」っていつも思ってるんですよ。

 

―――? 好きとか楽しいとかないんですか?!

 

ん~正直、写真を楽しいと思えるまで行ってないんですね。ずっと辛かった。最近やっと「辛くない」になってきたんですよ。なのに何で写真をやってるんだろう?って。どうせろくな写真撮れないし、これをプリントして持っていってもダメだろって・・・。辛くて、やめたんです、一度。機材全部売って。

 

―――そういえば、ちょっと来てない時期がありましたね。

 

ちょうどその頃ですね。人物写真がヘタで練習しようと彼女を撮ったんですよ。そうしたら、今までの中で一番最悪の評価で。「撮影者と被写体の関係性がない」と。それを彼女に言ったら、怒っちゃって撮らせない!って言われてケンカになっちゃってね。それで、もうやめた!って。

 

―――人物は難しいですからね・・・ちなみにその彼女とは・・・?もしかして・・・。

 

ああ、別れた、別れた。

 

―――スビバセン・・・。

 

いや、別に写真のせいじゃないから。去るもの追わず、ですから・・・(笑)

 

―――お、カッコイイ(笑)でもそこまで辛くてやめたのに、何で写真を再開したんですか?

 

それがね、機材を売って「あ~スッキリした~!!」って次の日に、ピンポーンって。ずっと前に頼んでた印画紙10箱が届いたんですよ・・・そのタイミングで。それで「はぁ~・・・」って(笑)

 

―――それはオモシロイ!!(笑)

 

まぁそれと、この授業を最後に教室をやめるって日に、中村先生がレンジファインダーがいいって話をしてたのをちらっと聞いて。じゃあちょっとレンジファインダーで撮ってみて、印画紙10箱使ったらホントにやめようって思ったんですよ。それで初めてレンジファインダーで撮った写真を授業に持っていった時に「劇的に写真が変わった」って先生に言われたんですね。その次持っていった時も「前回からまた変わった」って。違う写真になったってことは「関係性がない」写真から脱したのかなって思ったんです。だから、今ここにいる。

 

―――レンジファインダーが合ったんですね。

 

そうかも。でもまだ「楽しい」とか「好き」まで行かないんですよ。まだ一歩も踏み出せてない感じがしてる。

 

―――海谷さんの場合は「悔しい」から続いてるんじゃないですか?他のたいていの事は自分が想定したあるラインまで到達できたのに、写真だけはなかなか達しない。それが悔しい、みたいな。

 

そう、悔しいんだよね。こんなにやっても上手くならない。

 

―――ひとつぐらいうまく行かないことあった方が人生おもしろいですよ。普通はできることの方が少ないんですから。

 

そうかな~(笑)

 

―――そうですよ!私からしたら海谷さんはデキスギくんですよ!もうちょっと、苦労して下さい(笑)

 

えぇ~(笑)でもこの辛さの先にスゴイ楽しいことが待ってるのかなって期待もあるんだよね。それを見てみたいって気もして。

 

―――だから続けられる。

 

そうそう。それに、中村教室の説明会に来た時に思ったんですよ、「ここにいていい」って。

 

―――どうして?

 

中村先生の話がいいなーって思って。僕だけの感じ方かもしれないけど、あのアナーキーさっていうのかな。それで「ここにいていい」って思って入学したんだけど。先生のそういうところに憧れてます。やっぱりここは「中村教室」だって。

 

―――?具体的にはどういう??スミマセン、ちょっと難しい・・・。

 

僕の理想は、何でも「レス」、・・・ジャンルレスとかスイタルレスとかでいながら、本質をその中にもつということなんです。だからさっき話したエコにしてもそう。ボランティアの団体に参加するのももちろん大切なことだけど、「誰と」とか「いつ」とか、そういう枠組みのないところで「エコ」をやりたいんですよ。それは気分次第で気ままにやるってことでもない。本質はあくまでも「エコして住みよい地球環境をつくること」であって、その中の自分の活動の一環として、缶を拾ってみたり、パトローネをリサイクルしてみたり・・・ってこと。

 

―――「本質」をきちんと持って、そのスタイルなんかは型にはめないってことですか?

 

そういうことかな。写真も同じで、どんな被写体、発表の仕方にしろ、「自由度」と「眼と頭のフットワークの軽さ」を持ちながらそれでいて「いいもの」であるのが僕の理想なんですよ。理想だけど、この価値観を写真に反映させたいと思ってます。

そういう「レス」という気持ちを中村先生にすごく刺激されたんです。写真に関して「何でもあり!」なのに、「いいもの」が何であるのかをハッキリと分かっていて、それでいてそこに全くブレがない。その何でもありのアナーキーさと「いいもの」をブレずに持ち続ける審美眼に僕はすぐに降参して、それからずっと尊敬してるんです。

 

―――そっか~、そういうことだったんですね。

 

あと、写真と音楽って似てると思わない?僕はレコードを買ってるんだけど・・・。

 

―――(笑)やっぱり!絶対、CDじゃなくてレコードだと思った!!

 

え、そう?レコードのジャケットが好きなんですよ。レコードジャケットの本を持ってるぐらい。だから、物理的にCDみたいに小さいより、大きいほうがいいじゃん。それにデータにお金かけたくないし。

 

―――それは解ります!今音楽はダウンロードで、って感じみたいですけど、私は絶対CDじゃないとイヤですね。手で感じたいっていうか。形あるものが好きです、やっぱり。

 

あれ、そうなんだ。「え~あたしダウンロード派」って言われるかと思った(笑)

 

―――全然!ケイタイだってメールと電話しか使えませんよ。写真は今はデジタルだけど。

 

そう、それでねスネークマンショウのギャグで「ロックはいいものある。悪いものもある。」って言ってたんです。それを聞いて、あぁなるほどな、そうだよな~って思って。写真もそうだと思うんですよ。どんなジャンルでも自分スタイルとかカラーとかそんなのいらないような気がしているんだけど、でもそこには厳然といいものがあって、悪いものもある。中村先生の話を聞いて、僕の価値観のルーツ的なこのギャグを思い出しました。その「いいもの」の方を楽しみながら撮ってみたいですね。

 

―――「いいもの」の写真を楽しんでる海谷さんを、ぜひ見てみたいですね。

 

う~ん、まだかかるだろうなぁ。教室にも馴染んでないし。

 

―――それいつも言ってますけど、そんなことないですよ。

 

昼間から暗室に来て何やってるんだろ?このおっさん、とか思われてそう。

 

―――あ~何の仕事してるんだろうとかは思うかもですね。

 

えぇ?! じゃあマリ子さんからは僕ってどういう感じですか?

 

―――・・・・。どうぶつ・・・。っぽい。

 

へ?どうぶつ・・・・。

 

・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

聞き手:木下マリ子

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