ボイス 受講生の声
VOICE vol.23
須藤 明子 Akiko Sudo 1999年中村教室入学 / ゼミナール在籍

―――あ~須藤さん、個展おめでとうございます!

 

ありがとうございます!・・・ちょっと、準備していいですか?メイクとか(笑)

 

―――モチロン!

 

では・・・・。

 

―――・・・さてさて、須藤さん、2回目ですね、VOICE。前回はいつだったかな・・・。

 

1年半ぐらい前かな?前の個展の時だから。

 

―――そうそう、コニカで個展やったときですよね。え~っと2005年11月だ。ミャンマーの・・・。

 

チベットです!!!(笑)

 

―――あ、失礼しました・・・チベット!そうでした!!確か「世界一周のルートを辿る」って。

 

そうそう!そうなんだけど・・・。今回はそのルートを外れて、イエメンに行ったんです。

 

―――イエメン・・・。

 

チベットの個展が終わった2005年の12月から1ヶ月ぐらいイエメンに行ってたんだけど、本当は中国の田舎の方に行く予定だったの。でもその時期、そこはものすごい寒いらしくて・・・そんな時、知り合いに「イエメンいいよ」って聞いたので、ああ違う宗教も見てみたいなって思って、イエメンに決めたんですよ。

 

―――違う宗教?

 

うん。チベットは仏教で、イエメンはイスラム教なんだけど・・・イスラム教って全然想像がつかなくって。友人とかにもイスラム教徒の人いないし。

 

―――イスラム教って、ニュースとかの情報だけだと、コワイとか厳しいとか・・・そんなイメージですよね。

 

でも「行ってみなきゃわからない!」と思って、イスラム教の世界を見にイエメンに行ったんですよ。

 

―――どうでした?イスラム教の世界・・・。

 

もう、イスラム教徒になりたいぐらい!すっごいいい宗教だった!!!

 

―――えぇっ?!

 

イスラム教ってテロだとかそんな報道ばっかりで、そういう危険なイメージ持ってるでしょ?実際は全然違うんですよ。確かに行っては危険な地域とかもあるけれど、それ以外であればむしろ安全な部分もあって。

 

―――というのは?

 

宗教がきちんと生活に密接しているから、スリとか詐欺みたいな細かい犯罪は少ないみたい。日本で言えば「お天道様が見てるわよ」みたいな感じだったり。

 

―――そういえば、イエメンの女性ってどんな感じですか?

 

あぁ、黒いのみんな着てますよ。旅行中、私も頭だけは黒い布を買って被っていました。

 

―――あの、目だけ出して他は覆ってるやつですね。

 

そうそう。アバヤって言うんだけどね。はじめね、宗教上着用が義務付けられてるのは、かわいそうだと思ってたの。仲良くなった女の子に「それ着て出かけるのって、めんどくさくない?」って意地悪な質問をしたのよ。そうしたら「無理矢理着せられてるんじゃなくて、とても便利だから着てるのよ」って。

 

―――ん?便利??

 

宗教上のこともあるけど、「犯罪防止」や「日焼け防止」、あとはお気に入りの洋服が汚れないようにするためとか・・・露出をしないことで、性犯罪とかそういうことから身を守るってことみたい。

 

―――そうなんだ~実は機能的なんですね。

 

それと、たまたま結婚式に行くことができたんですけど、それがまたすごい派手!みんな叶姉妹みたい(笑)

 

―――!!カルチャーショック!(笑)

 

ただ男女別々で結婚式やるんですけどね。やっぱり女性を男性に見せるのはよくないってことらしくて。でもそうやって、家の中や結婚式なんかでちゃんとみんなおしゃれを楽しんでたりして・・・普通なんですよ。髪なんかも、ロングのストレートが憧れらしくて、仲良くなった子が「いいな~」って髪を触ってきたり、一生懸命ドライヤーかけてたり・・・。

 

―――なんだか思ってたのと全然違うなぁ。

 

やっぱり、行くのと行かないのとでは全然違う。とっても興味深い宗教でした。帰ってからも、すごくたくさんイスラムに関する本を読んだぐらい。

 

―――本当にそうですよね。須藤さんから聞くまで何となく、こう言ってはなんですが、暗いイメージを持ってました。

 

そうなんですよね。何となく閉鎖的なイメージで、わたしも行く前に「何度も行かないと女の人の写真は撮れない」って言われてて。でも、仲良くなればなるほど、イスラム教を理解するほど、撮っちゃいけない、発表しちゃいけないような気がしてしまって。

 

―――女性が表に出ないことや、肌や髪を隠す理由が迫害とか、そういう意味ではないんですもんね。

 

例えば、マリちゃんと仲がいいからって裸を撮って、それを別の国で勝手に発表しちゃったらイヤでしょ?

 

―――それはイヤだなぁ。

 

そんな感じ。だから女の人の素顔を撮ろうとは思わなくなったんですよ。

 

―――なんか、裏切る、みたいな感じかな。

 

そうだね~。だから、そういう意味では、イエメンで写真を撮るのは、難しいかもしれないな。

 

―――今回のイエメンとチベットの時との違いってありますか?

 

チベットの時は、寝てる時もカメラを放さない!みたいな意気込みで行ってたんですけど、今回はチベットの個展の経験から「こういうふうに撮ればいいんだ」って型を作っちゃってました。だから最初にセレクトしたときもその「型」の中でセレクトしてたんですよね。でもまとめてみてもなんかイマイチで。先生からも「上手くなったけど、おもしろくない」って言われたりして。

 

―――上手くなったけどおもしろくない。かぁ~。

 

撮影をしている場所がイエメンという旅先で撮ったものなので、それでひとつ完結してるんですよね。だから写真展という形でまとめたいと思ってて。でも、写真のセレクトがなかなかうまく行かなくって・・・そのまま1年ぐらいほっておいたんですよ。だけど、やっぱり「もったいない」って思って。5000枚ぐらいある写真を1枚ずつ見直したんです。

 

―――5000枚も・・・・。見直してみてどうでした?

 

純粋におもしろいものをセレクトしてみたら、前にセレクトしなかったものでいいなと思うものがあって。何でこれをセレクトしなかったんだろう?みたいな・・・。意外と自由に撮ってるものがよかったりして、組み直したんです。

 

―――型をはずした、はずれたんですね!そして・・・個展!

 

はい、決着がつきました。チベットの個展の時に「海外で撮ったから・・・」みたいに言われるのがイヤで、だから絶対もう一度写真展をやりたかったんです。でも最近「旅に行って写真を撮るのが好きで写真を始めたんだから、これからも旅を撮り続けていく」って決めました。

 

―――そうですよ!好きで楽しくなきゃ!!

 

だから仕事も撮りたいものを撮って、仕事にしたいですね。

 

―――フリーになってどのくらいでしたっけ?

 

1年ぐらいですね。取材やタレントさん撮ったり、物撮りしたり・・・とにかく「なんでもやる!」って思って、仕事してました。でも考えてみると、それって「先がない」じゃん、とか思って。

 

―――先がない・・・

 

最初は「作品と仕事の写真は別々」って思って、それはそれで楽しんでやってたんですけど。でもそうじゃなくて、最初から「撮りたいものを撮って、それを仕事にする」っていうスタンスでいないとダメなんじゃないかって思って。

 

―――それが理想、みたいな感じだけど、でもその気持ちを常に持ってるのは大事ですよね。

 

うん、それと原動力!昔、付き合ってた彼氏に「カメラマンになんてなれるわけがない」って言われて、じゃあなってやろう!!!って思って、カメラマンになったし(笑)

 

―――(笑) 負けず嫌いなんですね!

 

そう!でも必要じゃない?

 

―――うん、必要!こんにゃろ~!みたいな。

 

原動力ってホント大事だと思う。それがなかったら、今私はこういう風になってなかったかもしれないから、その彼の言葉には感謝してるんですよ。でも実は最近、その原動力だけでここまで来てしまったから、「写真で何がしたいのか」「仕事はどうしたいのか」と言う事を考えて来なくて、今更とても悩んでたの。

 

―――写真で何がしたいのか・・・。私・・・わかんないなぁ・・・。

 

ホントは「カメラマンになる」「写真を発表していく」「写真について考える」っていう動機から始まらなくちゃいけないのに、意地と負けず嫌いだけで来てしまったのが原因なんだ・・・なんて、最近考えていて。だけど「旅先で撮る」とか、「やりたいことを素直にやっていく」・・・それが、私の写真やカメラマンとしてやっていきたいことなんだと。それが1年半かけていろんな人と話をして・・・やっと見えたんですね。やっぱりカメラマンって有名にならなくても、「こうしたい!」っていう気持ちとか、何か1本通ってないとできない仕事だなって、最近になって思います。

 

―――時間がかかっても、自分で見つけた答えだと、ちゃんと納得できますよね。人に言われるんじゃなくて。

 

ん、でもプロに相談してたら早かったかもなぁ、2,3日ぐらいで解っちゃってたかも(笑)

 

―――でも、解ったんだし(笑) 個展、絶対見に行きますよ!

 

あ~準備しなきゃ~。

 

聞き手:木下マリ子

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