VOICE vol.18
保屋野 厚 Atsushi Hoyono 2000年中村教室入学 / ゼミナール在籍

―――今日はよろしくおねがいします!やわらか~い感じで(笑)

 

ハイ、ハイ(笑)

 

―――保屋野さん、とうとう個展ですね。初めてですか?

 

そう。初めてなんだよね。

 

―――初めて個展をやるって、キッカケはあったんですか?

 

ここ数年東京を、23区を撮ってきたんだよね。もう撮るところも残り少ないぐらい。だから「東京」で一度まとめてみたいなと思ってね。できれば、写真集って「形」にしたいんだけど、コストもかかるしね。でもいつかは。その第一歩が今回の個展。

 

―――写真集はお金かかりますもんね~。今回は谷中・根津・千駄木ということですが・・・。

 

谷中のあたりは写真になる風景が多いんだよ。今まで撮影したので100本ぐらいあって、その中で50点ぐらいまとまりそうだったから。でも谷中とかだけじゃなくて、上野・浅草・向島、旧東海道とか、多摩川の河口周辺とか・・・東京をひたすら歩いて、いろんなところ撮ってるんだよ。

東京を撮るって言っても、その街の景色だったり、そこにいる人間だったり、ネコだったり、犬だったり。そういうのを含めて「東京の風景」って思ってるんだよね。

 

――東京マスターですね!(笑)谷中とかでいい感じのお店知ってます?

 

何件か知ってるよ。行きつけがあってさ・・・月に何度か行くんだよね。

 

―――あ~保屋野さんが早く暗室終えて、ニコニコして帰る日はそこに行ってたんですね(笑)

 

そこばっかじゃないけど、そうかな(笑)

でも東京だけじゃなくて旅も行ってたんだけど、日本中。どうしてもやっぱり「旅人」なんだよね。だからやめた。

 

―――旅人・・・?旅・・を、する人。 ん?

 

いやいや、その土地の人にしたら「客人」ってことだよ。その場だけ行っても、その土地の本質が分かるもんじゃない。自分は東京に住んでる。じゃあ東京を撮ろう。そう思ったんだよ。

 

―――あ、すいません!なるほど!確かに!!

 

だから、もう東京撮ったら誰にも負けないぞ!ぐらいな写真を撮りたいの。もうあちこち撮ってるから、次回は上野・浅草で、その次は羽田の工場のある風景とか、かなぁ。

 

―――おお!もう次の、その次の個展のことまで?!

 

もう、構想はできてるよ!写真もあるしね(笑)

 

―――スゴイーー!初めての個展が中村教室のギャラリーなんてウレシイです!

 

街中にギャラリーってたくさんあるけど、50点も展示できるところってそうないんだよね。ギャラリーって言っても、10点とか15点とか展示してあるだけで、「部屋」みたいなところも多くて。そういうとこってガッカリするんだ。ここは外からはそんなギャラリーがあるように見えないけど、「いい写真展をやってるんだぞ」って評判になるようなギャラリーになってほしいんだ。そのためのキッカケをどんどん作りたいよね。僕の後も、みんな個展をやって欲しいし、個展じゃなくてもグループ展でもいいから、写真界で評判になるようなギャラリーにしたいんだよね。

 

―――たのもしい!そうなるように、お願いしますネ!

ところで初めての個展、準備とかで大変だったこととかありますか?

 

それが、あんまりないんだよね。意外にトントンと準備が進んで。ただ、大きく伸ばしてみたらどうかなって心配だったけど、それも大丈夫だった。ピントがちゃんと合っていれば、大四切でも半切でも大丈夫なんだって分かったよ。ホッとしたね。大きくプリントするのは大変だったけど、それを乗り越えて前進したなって気がする。

 

―――大四切ぐらいに伸ばすと、あれ?って思うぐらい、アラとかみえてきちゃうんですよね。そんな中でセレクトするのは大変だったんじゃないですか?

 

いや、かなりの量を撮っていたので困ることはなかったね。昔から根津とかは撮ってたんだけど、今回大きく伸ばした作品を見て、5年10年前に撮ったのより、確実に上手くなってることを実感した。

 

―――どういうふうに?

 

思ったとおりに撮れてるってことかな。選ぶ被写体も変わったし、ただ撮るのではなくて「こう撮ったらいいな」とか、撮影の仕方も変わった。例えばこれを撮りたいって被写体があって、その日雨が降っていたら、晴れた日にもう一度出直して撮影するとか・・・。

 

―――なるほど・・・お話を聞いてると、写真歴はずいぶん長そうですね。

 

けっこう長いよ(笑)

 

―――いつぐらいから?

 

東京オリンピックの後ぐらい。

 

―――・・・っていうと、ええ~・・・っと。

 

1964年だよな!(by中村先生)

 

そうそう!

 

―――じゃあ、40年以上だ!

 

とびとびだけどね。途中で写真をやめた時期があったし。

 

―――どうして?

 

写真ってお金かかるでしょ。昔はカメラなんてもっと高かった。キヤノンのFTっていうカメラを使ってたんだけど、このカメラ5万円ぐらいするんだよ。当時の月給が2万円ぐらいだったから・・・。

 

―――給料2か月分!高いー!!

 

そう、だからボーナスつぎ込んで買うしかできなかった。それを買って、昔「カメラ毎日」って雑誌があったんだけど、これが好きでね。この雑誌のフォトコンテストに応募したりしてたんだよ。でも、こんなふうにお金かけられるのって、独身だからできた。結婚しちゃうとね。それで一度やめたんだ。

 

―――家庭を持つとなかなか・・・ですよね。しかも今と比べてはるかに高いし。

 

でもね、その頃から山登りもしてて、その時には必ず一眼レフを首から下げて行ってた。カラーでね、山の風景を撮ってたんだよ。それを観光写真コンテストみたいなのに送って、ちょっと賞金もらったりしてた(笑)

 

―――おこづかい稼ぎデスネ(笑) でもそんな写真歴が長くて、写真学校で勉強しようと思ったのは何かキッカケがあったんですか?それだけ長いと、改めて写真学校に行く気にならないような気がしますが。

 

いわゆる「流行の写真」ってあるでしょ。結構賞とったりしてるよね。あれと自分の写真が全然違って。何で、どうしてああいう写真がいいのかってことを理解したいと思ったんだよね。

 

―――解りました?

 

わかんない(笑)

でも、わかんなくていい、自分の写真を撮っていこうって思えるようになったよ。

 

―――(笑)私もわかりません。でも自分で楽しく、自分らしい写真を撮っていけたらいいですよね。

 

そうそう!

 

―――それにしても、保屋野さんもずっとモノクロですよね。

 

カラーでも撮ってるよ。先生に言わせると「絵葉書みたいな」写真。これはフォトコンテスト用(笑)作品作りとして東京はモノクロで表現できるし、モノクロの方が撮影者の気持ちとか、意図とかみたいなのがより浮き彫りになるような気がする。東京に色はいらないと思うんだ。

 

―――使い分けですね(笑)モノクロが好きな人ってそうですけど、保屋野さんもやっぱり何かを作ることが好きなんですね。

 

好きだね~。昔は油絵なんかもやってたんだよ。

 

―――え!私も!高校の美術部で油絵やってました!

 

僕は自己流だけどね。職場で芸大出身の人がいて、その人を中心にクラブを作って。いっぱい描いたよ。絵は好きだなぁ。 他にはテニスもやってたよ。

 

―――あ!私もテニス部だったんです!いや~趣味が合いますね!

 

・・・。いや・・・テニスは生産的じゃないから辞めたよ・・・。

 

―――・・・。疲れますモンね・・・。

 

そう(笑)生産的なことしたいな~って。とりあえず、元気なうちは歩き倒して写真を撮るよ。足腰が立たなくなったら、また油絵やるかも。

 

―――絵は座ってできる!(笑)

 

写真は歩かないとね(笑)

 

聞き手:木下マリ子

ボイス 受講生の声

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