ボイス 受講生の声
VOICE vol.11
栗坂 菜穂 Naho Kurisaka 1998年中村教室入学 / ゼミナール初級コース在籍

―――こんにちは!外暑かったでしょう?!すいませんが、よろしくお願いしますね。

 

外はスゴイ暑さだよ。そういえば気がついたんだけど、このインタビューで私の本名知る人多いかも。みんな「ほまれ」って名前しか知らないと思う。

 

―――ほまれ?

 

ネット上のハンドルネームで、昔教室の掲示板に「ほまれ」で書き込んでるうちに広まっていったの。 好きでよく飲んでたお酒の名前なんだけど(笑)

 

―――そうなのか(笑)ところで大学は北海道でしたっけ?どうして地方へ?

 

そう、北海道東海大学芸術工学部デザイン学科 。 親元から離れてみたかったんだよね。一人っ子だから、一生実家にいそうで。で、どうせ行くなら遠くへ!と思って北海道。父の推薦もあって。

 

―――お父さんは確かデザイン関係のお仕事してましたよね?

 

デザイン界の大物(笑)だから大学でも父の知り合いばっかり。カメラのセルフタイマーのマークって昔、メーカーごとにバラバラだったんだけど、それを統一したのが、父。他にも接写モードのお花のマークとかそういうの全部統一したんだって。それ以外にもいろいろ。一言じゃ言い切れないぐらい。

 

―――あのりんごみたいなマークとかを?すごいなぁ。・・・プレッシャーだなぁ。

 

なんかアーティスト家系なんだよね。絵描きとかが多いんだ、親戚にも。現代美術史の教科書に出てる人とかもいるよ。母は専業主婦だけど。だから父親の影響かなぁ、やっぱり。

 

―――そういう家庭だと、やっぱり芸術系なのかも!それでデザイン学科に?

 

立体がダメで(笑)平面で色の組み合わせとかが好きだったんだよね~。絵はキライだけど、看板の文字を書いたり・・・そんなのがスキ。

 

―――写真の授業はあったんですか?

 

あったんだけど、たった2日間の授業で、先生は町の写真館のおじさん(笑)それよりも・・・高校の数学の先生が「これ、たぶんお前が好きな写真」って見せてくれたのが、荒木の「センチメンタルな旅 冬の旅」。これで号泣。心がふるえた・・・って感じ。写真もいいじゃんって思ったの。

 

―――それで写真を?

 

・・・デザイン事務所に就職して2年目に、仕事以外の趣味を持とうって思って。 それも「受身じゃない」趣味。ダンススクールに入ろうと思ったんだけど、中村教室の存在を知って、これはあの心ふるえた荒木の写真につながるんじゃないか?って気がしたんだよね。

 

―――写真も確かに自分からアクションを起こすものですもんね。ところで栗坂さんは「うつ病」ですよね。いつぐらいから?

 

それが中村教室に入学して1ヵ月後(笑)って言っても、ずっと前からおかしいと思ってた。毎日、死ぬことばかり考えてた時期があって、これはきっと病気だと思って病院へ行ったの。たぶんこういう思いをしてるのは、自分だけじゃないって思って。だから病気だと。最初に友達の関係で心理学の先生に話をして、「心の病気でしょう」って言われて、やっとどこの病院へ行けばいいのかが分かったんだよね。

 

―――うつ病の苦しさを本当に理解することはできないけど、そういう症状の中、写真を続けるのは大変だったのでは?

 

つらいよー。でも写真は「心のバロメーター」なんだ。暗室って暗くって、弱ってる時に入ると苦しい。すぐ出てきちゃったこともあるし。だから逆に暗室作業ができる時は「元気な時」。弱ってる時は撮影をするの。ホントに具合悪い時は、カメラを持って散歩する。

1ステップ:シャッター押せた(元気になったかな?)

2ステップ:現像(また少しいい感じ)

3ステップ:プリント(元気になったじゃん!)

・・・みたいな感じ!写真があったから元気になったんだよ。

 

―――「心のバロメーター」・・・何となくわかる気がします。

 

でも何年も経つと調子のいい時期と悪い時期ってちゃんとわかって。6月、9月がつらいの。だからその時期は働かない!

 

―――だから派遣でお仕事してるんだ?

 

そう。だからしょっちゅう島に行ったりしてるんだよー。

 

―――そっか、ずっと島を撮ってますもんね。あれはどこの島?

 

「粟島」。新潟にあるちいさな島。船に乗るのが大好きで、いろんな島へ行ったよ。父島とか八丈島とか・・・でも、なんとなく自分の波長に合わなくって。しかも太平洋の島しか行ってみたことなかったから、日本海の島に行ってみたいなと。

 

―――佐渡とかじゃなかったんだ。

 

佐渡みたいな大きい島じゃなくて、自分の足で歩いて一周できるぐらいの小さい島を探して。大きい島だと「都市」って感じしちゃうんだよね。「シマダス」って本で探したんだよ。

 

―――「シマダス」?!すっごいネーミング(笑)見てみたい~。

 

でしょ~!町名でもひけたりすんの。それに粟島が載ってたんだ。それで粟島の観光協会からパンフレットを取り寄せたら、そこに 「何にもないを楽しむ島」って書いてあったの。

「キターーーーーー!!!」って思って。これはスゴイと。

で、さっそく粟島へ。着いた日に漁師さんと飲み、次の日の朝3時には漁船に乗ってた(笑)

 

―――(笑)いいね~!

 

島の人って「来るもの拒まず、去るもの追わず」なんだよね。でももう5年くらい通ってるんだけど、溶け込むのが大変だったなぁ。人を撮れるようになるのには3年ぐらいかかった。最近やっと「写真を撮りに来てる人」って分かってもらえた~。自称「親戚以上、島民未満」です(笑)

 

―――ホントに粟島が好きなんですね!

 

友達には、粟島と遠距離恋愛してるみたいって言われた。でもホント、粟島に恋してる。

 

―――粟島に恋してる部分は?

 

居心地がいい。撮影ってエネルギー放出するでしょ?粟島で撮ってると、放出と同時にエネルギーをチャージできる。だから撮れる。島に行くようになって、元気になった。そのままの自分でいられる場所。そのままの自分を受け入れてもらえる場所。そういう場所に出逢えたことは、本当に幸せ。だから今、幸せ!

 

―――そのままでいられる場所って、めったに見つかるものではないですよね。

 

そう。だから写真を形にして、島の人に見てもらいたいの。だから写真集にしたい。それで新潟の人に「あなたの地元にはこんなステキな島があるんですよ!」ってアピールしたい。

 

―――そんな島の人に一言!

 

愛してます!!ちなみに彼氏、募集中(笑)!

 

聞き手:木下マリ子

 

 

「粟島」

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